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海を守れ 環境警備隊インドネシア編

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海を守れ 環境警備隊インドネシア編 2018年制作/撮影地:インドネシア/作品時間52分

 今回紹介する作品は、特集【アジアンドキュメンタリーズでSTAY HOME!】で無料配信中の作品「海を守れ 環境警備隊インドネシア編」です。

作品概要

 世界最大級の島国・インドネシアには、違法漁業や海での人身売買、環境破壊など、深刻な海の問題が存在します。インドネシア沿岸警備隊の密漁船との戦いの日々や、破壊されたサンゴ礁を取り戻すための活動など、今日のインドネシアが抱える海の問題と、それに立ち向かい、海を守る人々の活躍を記録した作品です。※本編は、シリーズ”環境警備隊”のインドネシア編です。

見どころ

大迫力の「海戦」

 インドネシア沿岸警備隊は、密漁船の取り締まりという過酷な任務に就いています。密漁を行う者の中には武装している者も数多くおり、密漁船との戦いは、言うなれば「海戦」です。日夜、危険な任務にあたる彼らの原動力は、誇りと使命感にほかなりません。母国の海を想う気持ちが、彼らを次の任務へと向かわせるのです。

海が抱える「闇」

 密漁が横行している背景には、様々な問題が関係しています。密漁船に乗せられた乗組員の多くは、海外の貧困層の人々で、中には人身売買によって強制的に働かされている人もいるのです。海を守ろうとする人々がいる一方で、海が抱える「闇」を消し去るのは、一筋縄ではいかないことなのだと感じさせられます。

サンゴ礁、破壊と再生への挑戦

 インドネシアの海は、環境破壊にも侵されています。破壊的な漁法によりサンゴ礁が損なわれ、そのことが引き金となり水産資源が枯渇する恐れがあるといわれているのです。しかし、この問題を解決するために活動する人々は、ある方法でサンゴ礁を生き返らせることに挑戦します。インドネシアの漁業は、環境との共存の道をゆくことが出来るのでしょうか。

 

 一言に「海の問題」と言っても、その構造は極めて複雑で、そのすべてが絡み合っています。部分的な対策では、解決することができません。それは、今日の社会が抱える様々な問題にも共通して言えることです。

 この作品では、そんな社会問題を解決するヒントが隠されています。サンゴ礁の再生を図る有識者のチームは、地元の漁師たちにサンゴの生態系における役割を説いたのです。そうすることで、サンゴの重要性を「知った」漁師たちは、彼らの活動に協力するようになる、というわけです。

 社会問題は、ある側面だけを見ていては解決することができません。そして、一人の力ではどうすることもできないことばかりです。私たちが、私たちの社会の問題を、良い方向に変えていくには、まず、様々な側面を「知る」ということが大切なのです。この作品は、そんな「知る」ことの大切さを、改めて感じさせてくれました。

 まずは、「知る」ことから始めてみませんか?

 

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