ドキュメンタリー映画の部屋inアジア

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秘境をぶっ飛ばせ!

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秘境をぶっ飛ばせ! 2018年製作/インド/作品時間52分

 今回紹介する作品は、特集【視聴率ベスト20】第4位の「秘境をぶっ飛ばせ!」です。

作品概要

 インド北部・ヒマラヤ山脈に存在する「断崖絶壁」の過酷な道を、危険を冒し車を走らせる者たちを追った力作。標高3600メートル以上に孤立する山村・ガザに、生活物資を配達するトラックのドライバー。今でも車で到達するのはほぼ不可能といわれる村に4か月ぶりに帰郷する家族の旅路。あまりの臨場感に、彼らと共に旅をしているような感覚を味わえるでしょう。

見どころ

大自然」と「車」が共存する不思議

 ヒマラヤ山脈の岩肌に、爆薬で造った「道路」があります。孤立した山村に住む人々にとって、この道は街に繋がる唯一のライフラインです。そんな過酷な自然の中で疾走する車は、私たちが普段見ている車とは異質な存在に映ります。フロントガラスにはヒビが入り、車体を大きく揺らしながら前進する姿は、まるで勇敢な戦士のようです。

一緒に旅をしているような臨場感

 12年間たった一人だけ、秘境の山村・ガザに生活物資を配達しているトラックのドライバー。助手席のカメラでとらえた彼は、自信と、緊張と、使命感に溢れていました。様々な角度で写しだす彼と愛車のトラックの旅からは、一緒に旅をしているような、リアルな息遣いが感じられます。

過酷な道のりを乗り越える「人々の絆」

 季節が変わり、街での商売を終えて村に帰ろうと道を進む家族には、小さい子供もいます。過酷な旅路を乗り越えようとする彼らのエネルギーになっているものは、絆です。「おばあちゃんに会いたい」という子供の言葉をきいて、彼らの旅が成功することを祈らずにはいられません。

 

 道は、人と人とをつなぐものです。私たちは、誰かと、社会とつながっていなければ生きていくことはできません。普段の生活で、当たり前のように道があり、どこまでも続いていることに、何の違和感も抱かずに過ごしている人は多いでしょう。しかし、道なき道を進む「ヒマラヤの綱渡り師」の彼らを見ると、道がつながっていることは、とても尊いこと、喜ばしいことなのだと痛感させられます。

 そして、どんな環境でも「つながり」を絶やさない、私たち人類の力強さに、圧倒させられます。明日、何かが届き、誰かに会えることに、昨日までとは違う、何かを感じられるようになるのではないでしょうか。

 

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