ドキュメンタリー映画の部屋inアジア

アジアのドキュメンタリー映画専門チャンネル「アジアンドキュメンタリーズ」配信作品の感想を綴っていきます。

人狩り 中国の違法臓器売買

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人狩り 中国の違法臓器売買 2016年製作/中国/作品時間51分

 今回紹介する作品は、特集【人狩りの実態】【ドキュメンタリー映画で緊急支援】より「人狩り 中国の違法臓器売買」です。

作品概要

 近年、臓器移植手術を求めて多くの人々が中国を訪れます。ドナーを求めて何年も待つことが当たり前の臓器移植ですが、中国ではわずか1週間で適合する臓器が入手でき、手術ができるといいます。2020年には「世界一の臓器移植国」を掲げる中国ですが、その臓器の出所は明らかになっていません。これらの臓器について、専門家は、不当に投獄された「良心の囚人」の殺害によるものであると指摘します。この作品では、中国臓器移植の実態を暴き、中国政府が秘密裏に推し進める臓器移植ビジネスについて国際社会に警鐘を鳴らします。

見どころ

日本で報道されない「国家による殺人」

 これは、作り話や都市伝説ではありません。中国では、「法輪功」という気功の一種を実践する人々(法輪功学習者といいます)などが「良心の囚人」として不当に拘束され、処刑されています。臓器の強制摘出も、法輪功学習者を中心に、処刑の一環として行われているのです。専門家の検証により、違法臓器売買が中国政府により推し進められていることが明らかになります。この問題は、日本では報道されずにいますが、医薬品や医療技術の提供を通じて、大勢の日本人もこの犯罪に加担してしまっているのです。

 「真」を信じ、証言する人々

 法輪功には、「真、善、忍」という3つの基本理念があります。作中では、中国共産党は嘘とプロパガンダを基盤に機能しており、「真」を信じる人が増えることを嫌っているのだといいます。事実、取材においても、法輪功学習者からの臓器摘出をやめようとした医師は、諜報部に殺されそうになったそうです。そんな危険を冒してでも、現状を変えるべく、証言し、活動をする人々がいます。自身の危険など、中国の人々が直面している危険とは比較にならないと、ある専門家は言います。勇気ある彼らの行動の前で、私たちはどうすればいいのか、考えなければなりません。

 

 ドキュメンタリーに限らず、メディアとは、ある種人の不幸を金に換えるという側面を持っています。しかしそれは、世の中の人々が、私たち人間が直面する不幸から、目を背けることなく、向き合っていくためのものなのだと思います。

 この作品で訴えられている中国の違法臓器売買と、それに伴う法輪功学習者などの迫害は、同じアジアの隣国のことであるにも関わらず、この日本では全くと言っていいほど報道されていません。また、日本政府も、この問題に対して沈黙しています。

 見て見ぬふりをしていては、人間は同じ過ちを繰り返してしまいます。私たち一人ひとりが、見て、知って、考える必要があるのです。日本中、世界中の人々がそうすることは、必ず、この悲劇の幕を下ろす力になります。

 目を背けてはいけません。向き合うことを恐れない勇気を、出してみませんか。

 

人狩り 中国の違法臓器売買」は、アジアンドキュメンタリーズで配信中です↓

※アジアンドキュメンタリーズでこの作品を見ると、単品購入の方は視聴料全額、月額見放題の方は月の視聴料から495円が医療支援に寄付されます。(1月22日~2月28日)

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